☆　心に残った出来事　☆

先日のアカデミー賞で日本映画　『おくりびと』　が
外国語映画賞を受賞し話題になっています。

鑑賞した人々は「生きること」「送ること」の大切さを
深い感動とともにかみしめることができるようです。

大切な人を亡くす、ということ・・・自分がどう向かい合うか
・・いつも考えてしまいます。

お店に居るといろいろなお客様が来店されます。

今日は、今でも私の中で忘れられないお話を綴ります。

半年前、７０歳前くらいの一人の男性が来店されました。
その方はお花がレリーフされた白い　「写真立て」　を
お買い求めになりました。
その時静かにお話になられた事・・・
　　　「あちこち歩いたけどなかなか気に入ったのがなくてね・・
　　　　やっといいのがありました。ありがとう・
　　　　実は妻が１０日前に亡くなりましてね・・妻の写真を
　　　　飾るんですよ」

穏やかに語られるそのお姿に
私はおかけする言葉に詰まりこぼれ落ちそうな涙をやっと
こらえて　「いいお写真を飾ってくださいね・・」とお見送り
しました。

奥様がお亡くなりになって１０日・・写真立てを、一人で
探して歩いていた男性の心中を思うと、切なくやりきれない
思いで涙があふれるばかりでした。
一緒に写真立てを選んでくれるご家族や娘さんはいらっしゃらないのだろうか・・
おひとりで何とか気持ち張り詰めていらっしゃるのでは・・

その時、私はその方の中に、自分の父の姿をだぶらせていたのかも・・
もしも父が同じ状況であったなら可哀想で、娘として耐えられないから・・
現実は、私の父は母よりも先に逝ってしまったのでそのような父の寂しい姿を
見ることはなかったのですが・・


後日、娘夫婦に、この写真立ての話をしました。
前向きな考え？の娘夫婦は
　　「奥様を亡くされたのはお気の毒だけど
　　　きっと、その男性はもともと一人で買い物もできる
　　　自立した精神の人なんだと思うよ。
　　　一人で買いに来た事を
　　　そんなに、切なくてかわいそうにって思うことないんじゃないかな」・・

そうであればいいのですが・・・

あれから半年
奥様の写真と向き合ってお元気に過ごされていますように・・
願うばかりです☆

どこかですれちがってもお顔も覚えてないけど
私の心の中になんだか切なく残っている出来事でした。